淡く儚い恋物語 Ⅱ ~貴方との夢~






「………………」








「行くぞ、澪」




固まっている男を横目に見た後、私を優しく予定の場所にエスコートし始める






そう、優しかった


悠雅は優しかった



でも私は








「なんで言ってくれなかったの?」







「は?」






「ゆっくり悠雅に聞きたいことがあるの」






ニッコリと微笑んで静かに怒りをあらわにしていた






……………………



……










「で?なんだ?」



「………」




「…黙ってたら分からない」




……でしょうねぇ?




「…私だってわからなかったんだから」




「……」



眉間に深い皺を刻む悠雅の綺麗な顔はテーブル上のロウソクの灯りに照らされている











「……一ヶ月後に族を解散させるなんて聞いていないわ」









「…………」







私の言葉に一瞬固まった後









「…誰から聞いた」








驚きで目を見開く







「倉庫の皆」






淡々とそう答えると





「………はぁーーーー」






右手の平で顔の半分を覆いテーブル上に肘をついた






「…どうしたの?」




予想外の反応に怒っていたのも冷める





「………言うつもりだったんだよ」



「…え?」






「今日言うつもりだったんだよ。

アイツらの前で」








……!!!!!???









悠雅が“アイツら”と言いながら顎で指した方向には









「や~~~ん♡何あの子

めっちゃ可愛いんですけど!?
え、なに、私にくれるの!?」




「久しぶりだな



悠雅」










こちらに向かって歩いてくる若い男女2人組






女の人の方は赤いドレスに身を包み、誰もが羨む体型を持つ“美女”




男の人の方は黒いスーツに身を包んだいかにも紳士な、でもどこか普通とは違うオーラを纏った“美男”



2人とも30代か20代と私は推測する









それより……







「悠雅…



まさかあの人達って…」







「あぁ、親父とクソババアだ」








………やっぱり







「………」





「どうした?」






「……こういう事こそなんで事前に言ってくれないのよ」






「言う必要ねぇだろ」






「あるわよっ!」






悠雅は何を考えているのよ






「今回はたまたまこんな服装だったけど、私が普段着で来たらどうするのよ!?」








「普段着でも十分綺麗だろうが」






「……~~~っ



そういう問題じゃなくて…


もしジャージで来たら焦るでしょう?」







「それなら近くの店で他のを買えばいい。



それに俺はホテルに呼ばれてジャージで来るような女を選んだ覚えはないぞ?」













「っっ!!」








だめだ…






全部上手すぎる返しでこれ以上言い返せない




…でもその場で着る服を近くの店で買うなんて悠雅ぐらいしか考えないと思うけど…