お通夜の場に“あの人”を見つけて、 その思いはより一層、深まった。 (やめて。お焼香なんてしないで。) 「私、ここに、いるのに・・・」 たしかに私はあの時、そう思った。 今にも叫びだしそうだった。 それほど、あの場には不思議な人だったから。 私のために来るには、あまりにも意外すぎる人だったから。