「……おはよ」
「眠そうやね。」
くすり、と笑う仁。
金髪黒目のイケメンなこいつは、誰が見ても、チャラいっていうと思う。
まあ、実際チャラいしな。
こいつは、面白いことが大好き人間。
腹黒いし、冷静だし、嘗めてると痛い目見るから、要注意。
「マッドハッターじゃぁにゃいかぁ?あいっかわらずムカつく面にゃぁー」
「チェシャ猫やないの。相変わらずムカつくしゃべり方やね。」
……マッドハッターとは、帽子屋のこと。ただ単に違う言い方をしただけ。
チェシャ猫と帽子屋は、所謂、犬猿の仲。
会うたびに喧嘩をしてるから、溜め息が出る。
「君の仕事は楽そうやね。うらやましいわ。」
「楽じゃないしぃ~?なに?うたと同じだから妬んでんの?ウケるんですけど!」
「その頭の中は空っぽなんやろうね。叩いたら、さぞかしええ音がなるんやろうね。」
「空っぽじゃないし?そっちが空っぽなんじゃないのかにゃあ?」
バチバチと火花散らしてにらみ会う二人。
俺は止めないのかって?
……めんどくせぇだろ。
それに……
「二人ともいい加減にしてね。」
――止める人がいるし。