「そっか。」



そういった桐谷は、ぐーっと伸びをして、ソファーに座る。

隣ではなく、向かい側の。



「突然拉致してごめん。けど、君にはお願いがあるんだ。」


「なんでしたっけ、勧誘?」


「そうそう。
俺はね、Aliceっていうグループにはいっているんだ。一人一人コードネームがあって、俺は三月兎。
ここはAliceの溜まり場で、"home"ってよんでるよ」



アリスに三月兎。



「"不思議な国のアリス"にちなんで、ですか?」


「そうそう!よく知ってるね!三月兎なんてマイナーなのに。」


「……まあ。」



小学生のころアリスの劇やったからな……。結構本格的に。



「ここ、みんな同い年だから敬語やめてね。」



「あ、おう…。」



みんな遅い……と桐谷が嘆いていると、ドアがガチャリ、と開いた。



「あ、唄也じゃ~ん?あと、小波渡蓮だっけ?なにしてんの?」



茶髪の美少年が出てきた。


女顔で、女装してもバレなさそう。下手すればそこらへんの女よりも可愛いかもしれない。




「あ、葵。連れてきたからみんな待ってるの。」


「嗚呼、白の王ね。メールしたの?」


「……してない。」




天然なのか?


桐谷は、葵と呼ばれた少年に頭をバシッと叩かれていた。