「……スクープだ。特ダネだ。」
口をパクパク開ける俺に、「唄也、金魚みたい」とかいいながら爆笑してる仁はいつか呪いたい。
「と、とりあえず、みんなにメールを――」
しなければ、と続く筈の言葉は、路地裏に入ってきた金髪碧瞳の美青年によって、失われた。
パチクリ、と仁と顔を見合わせると、
「キミ、小波渡 蓮だね?」
仁が青年に問う。
俺は青年の両腕を後ろに回して拘束する。
「「Aliceの"home"までご同行願います。」」
無論、拒否権など存在しません。
――――――――――――
とりあえず、近くの喫茶店に入った。
「……あの。」
おずおずと話し掛けてくる青年に俺ら二人はああ、と頷く。
「俺、遊佐 仁。小波渡と同い年。」
「俺は桐谷 唄也。同じく同い年。」
「「そして、君を勧誘しに参りました。」」
声を揃えていう俺らにまたもや目をパチクリさせる小波渡蓮。
いや、にしても。
「うたちゃん。懐かしいね。俺もこんな反応したわ。」
「同じく。」
「うたちゃん誰にこれやられた?」
「千歳と静。仁は?」
「千歳と葵。千歳は初期メンバーだよね。」
「うん。葵、千歳、仁、静、俺、基樹の順で、入ったんだよね。」
突然、昔話をはじめる俺らに小波渡蓮は爆弾発言をする。
「あの。俺、追われてるんですけど……。」
その後に続く、だから、逃げないと、の声は、喫茶店のドアが乱暴に開けられた音で、消された。



