桐谷 唄也(三月兎)side
――千歳と仁が会う、数時間前。
俺と仁は、暗い暗い路地裏にいた。
「なんやっけ、"金髪碧瞳の美青年"やっけ。」
「……小波渡 蓮(コバト レン)ね。覚えてよ。」
「今覚えた。……いつくんのや。」
「さあね。」
白の王こと、小波渡 蓮を勧誘してこい、との命の元、葵に「路地裏で喧嘩してるらしいよ~」と聞き、路地裏にいた。
場所を聞かなかったことに、今は後悔している。
「喧嘩好きなんかねー?……ぐふふっ!俺と気ぃ合いそうやね。」
喧嘩好きで気が合うなら… …
「……千歳とは気が合わないの?」
ほら、AliceでNo.1の問題児ことチェシャ猫こと千歳は喧嘩大好きだから。
「んにゃ、喧嘩のときだけ合うんよ。その他はだめ。仲良くなれん。ほんとーは、仲良くしたいんやけどなぁ。」
チェシャ猫と帽子屋のタッグ戦は怖かった。
敵に手加減の欠片もせず、笑って蹴り、殴ってた。
本当は仲良くしたいっていうのは、こいつの本心なんだろう。
千歳も仲良くしたいんだろうけど、ほら、あいつはツンデレで猫だから。
「……まあ、あいつは猫だから。」
「警戒心強すぎやろうが……。」
……ドンマイ。
「……あとで飴買ってあげるよ。」
甘党な仁に。
「……あんがとーな。」
マジで気の毒だな。