20分後、俺はちゃんと喫茶cherryの前にいた。
っていうか……
「遅いんだけど。俺を待たせるなんて、あいつ、何様にゃあ?」
俺は不貞腐れたように頬を膨らます。
帽子のつばを少し上に上げて、キョロキョロと周りを見てみる。
仁がくる様子はまだない。
もう、25分なんですけどぉー。
すると、たたた、と誰かが近寄ってくる気配がする。
「千歳、遅くなって悪い。」
パーカーのフードを深く被って、黒縁の伊達メガネをかけて、白い紙袋を二つ持った仁が、ヘラヘラ笑って謝ってくる。
「全くだよ。」
ふんっと鼻を鳴らせば悪い悪い、と謝ってくる仁に、俺はで?と聞く。
「どうすんの?」
名前とか、服装とか。
「この紙袋に全て入っとる。」
「ふーん。で?そのメガネは変装?」
ああ、これか?とメガネを掴んで聞いてくる仁に、こくっと頷く。
「せや。さっき、売っとたから買うてきた。」
「は?だから、遅くなったわけ?」
「せやせや。」
信じらんない、と俺はギロッと仁を睨み付けた。



