160円のあたし




「お前家は?」

「だからここ」

「お前俺に160円ちょうだい」

「は?」

「無性に生茶が飲みてぇ」

「いやだ」

「俺が160円でお前を拾ってやる」

「何言ってんの?」

は?拾う?意味がわかんない。

「160円くれたらお前俺の家に住ましてやる」

今のあたしにはこの助けが必要だったのかもしれない。

だから、

「はい」

って160円を渡した。

この男はなんとなく信じられる気がした。