160円のあたし



その男は渡した160円ですぐに生茶を買った。

「っはぁ〜生茶だよな、やっぱり」

なんて幸せそうな顔して言うから
ついニヤけてしまった。

「んなに、ニヤついてんだよ」

「え、あー、ごめん」

「ふっ、行くぞ」

え?本当に連れてってくれるの?

「行ってもいいの?」

少しの沈黙があたしを不安にする。

本当は来られたら迷惑だろうか?

本当はお金のための嘘だったのだろうか?

「違う、俺が来いっつてんだ」


わけが分からない涙が出た。


「おい、どうして泣く?」

「ごめんね、ありがとう」



それしか今のあたしには言えなかったんだ。