〝 どうしてここに連れてきたの? 〟

そう聞きたかったのに、颯斗の声に遮られてしまった。


「さっき、学校の前でね…颯斗くんが学校に入るとこが見えたの。
それで、今日このイベントがあったこと思い出して…
まだ莉奈が颯斗くんのことが大好きなら連れてこようと思ったの。
莉奈やっぱりまだ颯斗くんのこと…っ」


“大好きでしょ”

栞はそう言いたいんだよね?


栞がそこまで考えてくれてるなんて、思ってもみなかった。


「勝手なことして、ごめんね。」

「ううん、いいの。」


今、颯斗は…王子様の颯斗だけど、あたしと同じ空間にいて、喋ってる。

颯斗の声を聞けてる。


テレビの前で颯斗を見たって、遠い存在だって実感することしかなかった。

でもね?

今はこんなにも近くにいる。