か、可愛い。


すっぴんなんだろうけど、すっぴんにしては可愛すぎる。



くりっとした目で大きな黒目。
確実にモテる。




俺にはこいつがノーメイクで目元まで前髪を伸ばしてる理由がわからなかった。



理由を聞いても教えてくれないし。



俺は、名前なんて聞かなくても知ってた。
クラス同じだから。



でも、明らかに態度的にあいつは俺の名前を知らない。

だから、あえて名乗った。




そしたら、案の定同じクラスってことをわかってなくて。



少しずつ、こいつのことを気になりだしてきたんだ。



帰り際。



あいつの名前覚えている人の極一部には入れてちょっと嬉しかった俺は、はっきりとそう告げた。


どーゆー反応するか、気になったんだ。



そしたら、



風が外から吹いてきて、柳沢の前髪が上がった。
と同時に、



「そうですね。」



とだけ言って二コリと微笑んだ。




すごく、可愛い。


俺の心臓やべえ。



そう思いながら、しばらく思考フリーズ。



「行かないんですか?」



その声にハッとした。



ずっと、俺はあのときの顔を考えていた。



二度とあんなこと忘れるもんか。


そう決心した。