まだ少し冷たい春風が吹く中、
私は、走りながら町の中や二人の遊び場の中で、
男の子を探していた。



どこにもいない…
やっぱりあそこにいるのかな。



また走りだして、私はある場所に向かった。


そこは、二人の秘密基地だった。



秘密基地の中で、泣き声が聞こえる。




「やっぱりここに居た。」






泣いていたのは幼なじみで1つ年下の
航宇(こう)くん。




今まで毎日一緒に遊び、
本当の弟のような存在だった。


航宇くんは泣き虫で、よく私の後ろをついてきていた。