テストが終わり、私は再び台本と向き合うことを1番目に持ってきた。

私の成績を見た母は喜んでくれて。
私はそれが嬉しかった。





「睦月最近ずっと台本読んでるね。」

「うん、来月になったし…。」

「台詞は覚えたんでしょ?」

「覚えたけど。どう表現するべきなのか考えてる。」



自分の役以外の台詞まで、既に全部覚えてしまっていた。
しかし心配事は尽きない。

本番でとんでしまったらどうしよう、とか。
上手く感情が表現出来るかどうか、とか。


毎日部活に顔を出し、薫先輩や氷音も教えてくれるけれど、不安はなくならない。

演じることの恐怖に加えて、近頃私の周りでよくわからないことが起こる。



「伊織、ちょっと相談があるんだけど。」


* * *

「ストーカー?」

「ストーカーというか‥‥。」


伊織に言った話を薫先輩や如月先輩にも言う。
何故なら伊織が言え、と言ったから。


「下駄箱の手紙と?私物がなくなる件と?あと何かあったの?」

「今のところそれ以外に被害はないので放っておいてます。」



よくわからないこと。
それは、差出人不明の手紙が下駄箱に入っていたり、私の私物がなくなったりすること。

手紙の中身はまだ見ていない。
なくなる私物はペンや消しゴムの類で、地味に困っていた。


「‥‥まぁなんだ遊佐。」

「はい?」

「気にすることはないぞ。」


‥‥え。



「気にしますよ!」



何を言ってるんだこの人は。
手紙はともかくとして‥‥泥棒だよ?


「犯人の目星は大体ついているし、遊佐本人に直接的な被害はないし。」

「目星…ついてるんですか?」






「ファンクラブだよ。」





…‥‥は?