恋の爆ぜる音

呆然としていると、唇がそっと離れていって、ようやく晃の顔にピントが合った。

「他には?どうしたら幸せ?」
「あ、きら?今の……」
「ねえ、俺が柊那を幸せにするから、もっと教えて」

頬に熱を帯びた右手が添えられる。
再び爆音が辺りに響いた。夏の夜空に花が散る。

「待ってよ、彼女、いるでしょ」
「別れる」
「何で、やだ、同情とか、仲良しの勘違いじゃないの」
「違う!」

強い否定に私はびくり、と肩を揺らした。
私の薄っぺらい体が晃のがっしりした腕の中に抱き込まれる。
触れ合った所から熱を帯びて、足元のアイスのように溶けていってしまうのかと思うほどだった。

「小さい頃から、柊那を幸せにしたいって思ってた。俺に彼女が出来た頃、柊那も彼氏作ってて、幸せなんだと勘違いした。柊那が幸せならそれでいいかなあって、思ったんだよ!」

晃の腕に力が入る。頭の上から聞こえる声は低くかすれていた。

「なのに、柊那は全然幸せそうじゃなくて、どんどん遠くに行ってるように思えて、俺、怖かったんだよ」
「晃……」

ばくばくと心臓が鳴らす音は、花火の爆音に混じって聞こえないことを願って、晃の言葉に耳を傾け続けた。


「お願いします、柊那を幸せにさせてください」


そこでようやく、私は晃の胸元が熱く湿っていることに気付いた。
私は、涙を流していたのだ。
気付いた後は早かった。こみ上げるような嗚咽を漏らしながら、必死に晃の名前を呼んだ。
「っ、あ、あきら…あきらぁ…!」
「柊那」
「私、晃のことが―――」
どおん、と花火の音が鳴る。追うように瞬いた閃光。



届いただろうか、私の爆ぜた恋の言葉は。



end.