恋の爆ぜる音

「っ、ごめん、そんな痛かった?」
慌てて晃は手を緩める。晃が腕を握った力はそんなに強くない。
ただ、当たり所が悪かっただけだ。

「大丈夫だから……」

そう言って振り払おうとすると、もう一度晃の手に力がこもった。
私はぎゅ、っと唇を噤んで痛みに耐える。
晃が息を呑むのを感じた。と同時に、くい、と長袖のシャツがたくし上げられた。

青痣と小さな丸い火傷のあとで斑になった腕を目の当たりにして、晃は震える声で尋ねた。

「この傷……誰に、されたの?」

彼氏、と素っ気なく答えてやると、晃は首を振った。

「家に帰ろう。こんな事する人のところにはもう行っちゃいけない」
「晃には関係ないじゃん」
「そういう問題じゃないだろ!」

いきなり腕を引かれて、どん、と生温いコンクリート塀に背中を押し付けられる。
アイスが飛んでいったのにもお構いなしだ。

「他は?」
「ちょ、やめ……いたっ」

左手で右の脇腹を抑えられて、痛みに顔が歪む。
色んなところをまさぐられる。肋骨の下あたりも青痣が出来ていることに、聡い晃は私の反応だけで気付いたことだろう。

散々上半身をまさぐった手が肩の上に乗せられた。生理的な涙で潤んだ目で晃の顔を見上げて、私は絶句した。

「なんで、そんな顔するわけ……?」

晃は今にも泣き出しそうに眉を下げていた。薄い唇はきゅっと結ばれて、瞳には涙が湛えられている。泣きたいのは私のほうだ。

「柊那は、それで幸せなの?」

その言葉に、私の中で何かが暴発した。
今まで溜まりに溜まった身の内のどす黒いマグマが一気に活性化したみたいだった。