恋の爆ぜる音

 近くのコンビニでアイスを買うと、転々と電灯が灯る住宅地を歩く。
希にジョギング中のおじさんや、チャリに乗った塾通いの中学生とすれ違った。
もしかすると、私たちはカップルのように見えるのかもしれない、と想像して怖気が走る。
第一、彼女がいる晃はそうは思っていないだろう。ただの幼馴染との下校風景だ。

溶け始めた部分を集中的に舐めていると、晃が笑ってそれを指摘した。

「柊那はアイスの食べ方、全然変わらないなあ!」
「そうだっけ」
「そうだよ、溶けたところから舐めるの、変わってない」
「アイスの食べ方観察するとか、晃やらしいね」

わざと舌を絡ませるようにアイスを舐めると、晃はそっぽを向いた。
初心な反応を鼻で笑ってアイスに齧りつく。

「そういえば、今日花火大会らしいね」
「あ、忘れてた」
「忘れてた、ってあんた……」

それは彼女がかわいそうじゃないの、と飛び出しそうになった言葉に口をつぐむ。
口から飛び出せずに留まった言葉は、暑さでどろどろと煮詰まり、黒いタールのようになって私の中で渦を巻いた。

かわいそうなのは、私だ。

「……まだ、間に合うんじゃないの」
「え、なに言って……」
「とっとと彼女のところに行ってくれば?」

そう吐き捨てた私は、踵を返して今来た道を戻り始めた。
晃の戸惑った声が背後から追ってくる。

「待ってよ、どこ行くの!」
「彼氏のとこ行く」
「今から、って、お母さんたち心配するよ」
「別に」
「待ってって!」

がっ、とアイスを持っていない方の左腕を掴まれた。瞬間、私は小さく悲鳴を上げた。