「生意気だった自分を恨むんだな!」
そう言い残し、男は消えていった。
ようやく一人になった朱里亜は、冷たいコンクリートの壁に傷ついた体を預ける事しかできなかった。
「…………」
もう何も考えられなくて。
声も出ない。
途中から涙も出なくなっていた。
夢であってほしいと何度も願ったけど、どうやら無理だったみたい。
殴られた時の鈍い痛み、
おもちゃのように乱暴に扱われた痛み、
生臭い不快な臭い…
全てがそう告げている。
どれくらいの時間が経ったかわからない。
けど、現実を受け入れなければいけないと少しづつだけど脳が理解してきたみたいだった。
理解したくないのに、状況を見渡すと理解せざるを得なかった。
「……ぅ…あー……あぁあーーーーーーーーーっ」
その時、やっと、朱里亜は大きな声で泣く事がやっとできた。
綺麗だと思った星空に照らされながら、乱れた制服を抱きしめ、気がすむまで泣き続けた。
