メンヘラ女。

そうこうしているうちに、男は朱里亜が乗っていた自転車を蹴り倒し強引に朱里亜の腕を引っ張る。


「おい、こいや!!」


力強く引っ張られる腕に、恐怖が更に強くなった。




「やっ…!!」

か細い声でそう抵抗してもそんな声、この男には届いていなかったようだ。





どうしよう…
涙を目に溜めながら頭の中で最善の策を探した。









朱里亜が住んでいるところは田舎で、夜になると車もなかなか通らない。
そんな事、生れてからずっと住んでるんだから分かっていたはずなのに…
夜空が綺麗で、疲れた心を癒されたくて、
いつもと違った道から帰宅していた自分を責めた。








「や、やめてください…」
震える声で訴える朱里亜に、男は笑いかけた。



ゾクっとするこの笑顔は一生忘れられないだろうと感じた。




「うるせーよ!」
そう言い、朱里亜の頬を殴った。