この日、朱里亜はいつもと同じルートで帰宅しなかった。

疲れているのに、ふと見上げた夜空が凄く綺麗でいつまでも見ていたくなったから。



深く考えることもなく、ゆっくりと星空を見つめながら家を目指していた。





「今日の夕飯なんだろう〜」なんて呑気な事考えながら。









夜空に癒されながら、自転車をゆっくりと漕いでいると知らない男性に声をかけられた。



「すいません」



相手は一人。若い男性で、年は少し上くらいに見えた。





警戒しつつ、「なんですか?」と素っ気なく返事をする。



「あ。びっくりさせてごめんね!君◯◯高校の子?」


「………そうですけど…。」


「制服がそうだもんね〜!!あそこ可愛い子多いよね〜!君も可愛いね!」


「……………」



何が言いたいの?と思いつつ、黙る朱里亜。

不機嫌になっていっているのを察したのか、


「あ、ごめんね!友達と◯◯高校の子と知り合いたいってこないだ話してたんだ〜。仲良くしたいし誰か紹介して欲しいからともだちになろうよー!」


なんて一言謝りの言葉をかけつつも馴れ馴れしく男が言葉を続けた。