学校を休んだ翌日からは、何も変わらなかった。
学校に行ってみんなで笑いあう。
たまに友達と学校抜けて、街に遊びに行って。
バイトに行って、友達と遊びに行って。

少しずつだけど朱里亜は元の日常に戻っていった。
戻っていったというより、戻れる様に必死だったというべきかもしれない。
レイプされた日から、毎日を生きることに対して凄く必死になっていた。
以前の自分に戻りたくて。



それでも、ふとした時に来るフラッシュバックにはとても悩まされた。
急にあの時のあの場所に連れ戻された様な錯覚に陥ってしまい幻聴が聞こえることもあった。



あいつの声が聞こえるだけで
「あぁああああああぁぁぁぁーーーーーー！！！」
恐怖のあまり、そう、無性に大声で叫ぶことが多くなった。




フラッシュバッックした後は凄くどっと疲れがくる。
全身汗ばんで気持ち悪いくらいの汗をかき、無意識のうちに涙がぼろぼろと溢れてくる。
そこから過呼吸になって、一時して落ち着くという繰り返しだった。




「なんで私がこんな目に合わなきゃいけないの…」
辛すぎてそう呟く日もあった。


それでも、自分にもあいつにも負けたくなかったから歯を食いしばることができた。



今思えば、この時の朱里亜はまだ前向きだったんだ。






”頑張れば戻れる”と思ってたから。