メンヘラ女。

駅から続く細道を歩く。
どこを目指しているわけでもないけど、何だかどんどん歩きたかった。
暫く歩くと、小さな公園があった。
公園のベンチで一休みしようと思い、腰掛ける。
風の音がとても心地よかった。


目を瞑り風を感じていると、おばあさんが朱里亜の隣に腰かけた。
丸まっている背中が年齢を感じさせるけど、綺麗な肌をしたおばあさん。
そんなおばあさんにじっと見つめられる視線を感じていると、おばあさんが口を開いた。

「あんたかわいらしいねえ。見た事ない制服だけどあんたどこの子ね??」

「あ……ちょっと北のほうです。」

「そうなんねー!かわいいねえ。ばあちゃんの孫と同じくらいやなあ。あんた学校はどうしたんね?」

「………ちょっと…人と会いたくなくて…。」

朱里亜がそう言うと、おばあさんは一瞬目を丸くさせ笑って言った。

「そういうときもあるわよねー。ばあちゃんもじいちゃんと一緒に居たくない時はココに来るんよ(笑)ここ良い所やろう?静かで空気が綺麗で。」

「…そうですね…。落ち着きます……」
俯きながらも朱里亜は答えた。

「学校、楽しくないの?」

「いえ。楽しくないわけじゃないんですけど…誰とも会いたくなくて…。けど母が心配するんで家にいるわけにもいかないからふらっとこんな遠くまで来てしまったんです…」

「そうなんね…。あんたは優しい子なんやねぇ」

「え…??」」
顔を上げておばあさんを見ると、凄く優しい笑顔を向けていてくれた。

「あんた自分が辛いでも人に相談せんやろう?」

「はい…」

「あんたは優しいんよ。人に心配かけたくないから一人で抱え込むんよ。だからお母さんにも心配かけたくなくて家でてきたんやろう?」

「………」

「良い子なんやねえ。頑張り屋さんなんやなあ。遠くまで一人でようきたね。それ位あんたは辛かったことがあったんやろう?」

「………」
おばあさんの優しい声に安心したのか、気持ちを分かってもらえたから嬉しかったのかわからないけど、気づけば朱里亜の瞳には涙が溢れていた。