翌朝ーー。
いつもと同じ朝がやってきた。
「朱里亜ー!早く行かないとまた遅刻するよーー!」
いつものように朝からパワフルな母に流されながら、朱里亜は家を出た。
昨日の今日で、制服を着る事すら抵抗があって。
昨日の感触が思い出されて、フラッシュバックしてしまって今にも発狂しそうだった。
いつも駅で友達と待ち合わせて登校していたけど、学校になんて行く気になれない朱里亜は友達に「今日は休む」とだけメールをした。
今は誰とも繋がりたくない…
そう思い、携帯の電源を切った。
それから、今日1日どうしようかな…と思いながらもまずは公園に行った。
ぼーっとしていると気がつくともう10時過ぎていて、近所の子供達がお母さんと一緒に公園で遊びだした。
そんな微笑ましい光景を見ているだけでも朱里亜の心は壊れそうで妬ましいとすら思ってしまった。
普段は気にも留めない光景すらきつくて、そんな自分が嫌だった。
もう何も考えたくなくて…何となく電車に乗った。
どこまで行くかも決めずにただ風景を見ながらも、着々と進んでいく電車。
ぼーっと眺めている風景は凄く優しくて、心が少しだけ落ち着いた。
電車には二時間くらい乗って、今まで行った事のないところまで行った朱里亜。
田んぼだらけの知らない駅で降りた。
電車を降りるとそこは無人駅で改札機もなく、駅前もしんとしていた。
「……田舎だなあ…」
思わずぽつりと呟いた。
けれど、今の朱里亜には何だか落ち着く雰囲気の場所だった。
