「ごめん、雫。」



「泣かないでお兄ちゃん。」






お兄ちゃんが私のもとにきて、ゆっくりと抱きしめる。


そのせいでもっと涙が溢れて全然止まらない。




全部あいつが悪いの。

お兄ちゃんをだましたあいつが悪いの。







「雫、お前はこの町から離れろ。」



「そしたらお兄ちゃんが!!」



「お兄ちゃんも逃げるから、さきに行け。」






お兄ちゃんが私に二枚の紙を渡す。


それは叔父さんの住所が書かれた紙と手紙だった。




私はそれをゆっくりとポケットにしまった。




お兄ちゃんは大きな笑みをつくって、私を安心させようとした。