「高橋くん、何の本読んでるの?」 私は高橋くんの方を見て、訪ねてみた。 「あ、これ?野球の本。」 「へえ、野球か。あんま知らないや。」 病気のせいでやったことはもちろんないし、TVでも見ないし。 「俺も早く病気治してまた野球するんだ。皆んなが待ってるんだ。」 高橋くんはまっすぐ前だけを見つめていた。 「みんな?」 「ああ、野球部の皆んな。」 待ってくれる人がいるんだね。 私にはいないや。待ってくれる人。