特ダネには真実を

「嚇止だって、報告書が改竄されてるのに気付いて嗅ぎ回ってたら偶然髀鰒会に入る俺を見たって呼び出してよ。騙してただの、証拠はあるだの、証拠はこれだけじゃないだの、自首してくれだの、煩くてさぁ。」



一人ペラペラ喋る碣屠實は、常軌を逸していた。



「上に立つにはさ、偉くなるにはさ、馬鹿正直なんて無理なんだよ。少しぐらい良い思いしたっていいじゃないか。県に、議会に、それだけのことを俺はしてきたんだよ!」



普段とはかけ離れた荒れた口調の碣屠實には、紳士の欠片すら見当たらない。



潮は声を発することも出来ずに、ただ微かに震えているのだけは分かっていた。



「なんでだ?なんで、オマエらは黙ってくれない?なぁ、何故だ……?」


「……っ………」



ゆっくりとした動きだが殺気を含んだ声で、碣屠實は近付いてくる。


潮は後退るも、ドアとシートベルトに阻まれてしまう。



「ゃめ………こ、ない、で……」



消え入るような潮の小さな声は、碣屠實には届かない。



「だから、黙らせるしか無いんだっ!!!」


「ぐっ………か、はっ……」



碣屠實の両手が潮の首を絞めた。