特ダネには真実を

「ど、どうしたんですか…?」



いつも安全運転の碣屠實が急ブレーキ、しかも発した言葉はかなり低いトーン。


碣屠實の急変した態度に、潮は動揺を隠せない。



「どうして、どうして君達は、僕の邪魔をするのかなぁ?」


「墜玄、さん…?」



シートベルトを外しながら、碣屠實は深い溜め息をつく。



「やっとここまで来たんだ。20年かかってやっと……なのに、君もあいつも……」


「つ、いは」



「なんで邪魔するんだっ!!!」



「!っ……」



碣屠實は突然大声を上げ、両手で思いっきりハンドルを叩く。


それは、車全体に響くぐらいの衝撃だった。



見たことがないほど、気性の荒くなった碣屠實。


潮の体はビクリと跳ねる。



「ああ、そうだよ!俺が殺したんだよ!嚇止を殺ったのも、16年前、渠瑛と稽滸を殺ったのも俺だよ!あいつら、俺が髀鰒会と繋がってるのに気付きやがって。領収書改竄とか、買収とか、不正だなんだのってグチグチ言いやがって。そのまま黙ってりゃ死なずに済んだものを、議会に報告するとか抜かしやがってよぉ。殺すしかねーじゃん。」