本当は苦手だったのは間違いじゃない。世界が違う。そう思っていた。彼の作る輪の中に自分は入っていけない。
でも鼓動が大分早いとは言え、今の居心地は決して悪くない。
慌てて首を横に振った。
「違う……苦手なんかじゃないよ。ただちょっと緊張してるだけで。男子とあんまり喋らないし、面白い事とか盛り上げる事言えないし」
さすがに水着姿を意識するので正面から見られない等とは言えない。
「別にそんなの気にしなくていーのに。さっき笑ってたの可愛かったよ。そういう所もっと見せてよ。本気で人嫌いで話しかけんなって思ってるなら別だけど」
可愛い。
さり気ない一言にまた顔が熱くなる。
こんな科白がサラッと出て来る辺り相手は慣れているのだろうけれど、こちらは色々免疫がなさ過ぎてさっきから赤くなってばっかりだ。さぞかし滑稽だろう。
それでもこちらを見る彼の顔は思いの外真剣だった。
「嫌じゃないなら、もう少し広瀬サンと話したい」
髪と同じく色素薄めの瞳が金網を通過して真っ直ぐにこちらを射抜く。
絡め取られるような気がした。
「寄り道してるって事はまだ時間余裕あるよね」

