回り道でアイス


 残った噛じり跡を見る。意識しないように務めているのに、どうしてもそこへ視線が行ってしまう。彼の唇の触れた場所。
 アイスはいまやポタポタと雫を連続で落としている。早く食べないと危険なのは明白だった。
 今時間接キスで狼狽えるのも恥ずかしい。理性を総動員して平静な顔を装い、再びアイスを齧った。それが成功しているかは分からなかったけれど。


 食べ終えた後の棒をずっと手に持っていたアイスの袋に入れる。
 彼はずっとそれを見ていた。


「美味かった?」


「……うん」


「……広瀬サンってさあ、俺の事苦手?」


「えっ」


「目、合わせてくれないし。さっきまであんなにニコニコしてアイス食べてたのに俺が声かけてからちっとも笑わないし」