対称的に目の前の彼は、元々の色素なのか抜いているのかはたまたプールの塩素のせいか。日に透けるとキラキラと輝く色素の薄い髪がトレードマークの水泳部員で、クラスの中心人物だった。評するならお祭り男またはお調子者。彼の周りは常に賑やかで笑いが絶えない。人懐こい笑顔が母性本能をくすぐると女子人気も高いはずだ。
普段はお互い別の世界の人間で、事務的な用件以外で会話を交わした事なんてない。どちらかと言えば苦手なタイプだった。
「アイス溶けるよ?」
「わわっ」
指摘の通り、表面のミルクアイスが一粒雫になって流れ落ちそうになっている。慌ててその箇所を舐めた。
「……」
視線を感じる。
人に何かを食べている所を凝視されるのは結構恥ずかしいという事を、今初めて知った。喉の音が大きく鳴ってしまいそうで妙に緊張する。
見られているのを分かっていても顔を上げられない。だって顔を上げれば嫌でも相手の身体が目に入ってしまう。
水着姿を意識しているのを悟られたくはなかった。

