「柚子ー?早くしないと置いてくぞー?」



「え!ちょっと待ってよ!
もう少し!
もう少しで準備終わるからーー!」



急いで髪の毛を結んで曲がっていたリボンをキュッと結ぶ。



鏡を見て確認して……。



ってそんなことしてる場合じゃなかったーーー!



「海斗ーー!ごめん!遅れちゃった☆」




「……なにが「遅れちゃった☆」だよ!
お前のせいで時間が3分もロスしたじゃねえか!」



「ごめんってー!
……ってか3分ってそんなに時間たってないじゃん。
イライラしてたら血圧上がるぞっ☆」



と、まぁこんな感じで言ったら置いていかれるわけでありまして。



「海斗ーーー!置いてかないでよー!」



私が叫べば振り返って待っててくれて……。



「死ね」



そんなことありませんでした。はい。
くるりと前を向いて歩き始めたじゃありませんか。



「むむむー。海斗の鬼!悪魔!スカポンタン!」



と言ってあたしが追いかける。



これがあたし、神崎柚子(かんざきゆず)と幼馴染みの早瀬海斗(はやせかいと)の朝である。