相合傘

「7組の紺野里奈です!
よろしくね」


「同じく小林瑠璃です!」


「蓮野郁美~」


え、何…あたしも、だよね?


「同じく、夏目未弥です…」




あー、帰りたい。


せっかくセッティングしてくれた郁未には申し訳ないけど、この空気には耐えられない。



でも、ここで帰ったら、この空気が更に悪くなることはあたしでもわかっていた。


きっと、それがわかるのは涼君だけなんだけど。




あたしも含めて、郁未以外の3人は春が気になって仕方ないし、郁未は郁美できっと涼君に夢中だ。



その春は、一人無言でドリンクを飲んでいる。



それを見かねた涼君が、

「じゃあ、席替えしよっか」

とみんなに声をかける。



少し、安心。


春の隣にはきっとリナとルリが行ってくれる。


あたしは、春を見なくてすむんだ。