「ねえ…っ陽翔!」 ―パシッ― 「なんだよ」 ―パンッ― 「緊張してるかもだけど、大丈夫だよ」 ―パシッ― 「………………」 陽翔は、投げるのをやめた。 「俺、本当は怖いんだ。 先輩がつくってきた伝統を、受け継げんのかとか……… 相手にバンバン打たれたらどうしようとか… 怖いし、不安なんだ…」 私は、陽翔に近づいた。 そして、陽翔のボールを持っている手を、 そっと包んだ。