秘密のキスは夜のオフィスで

ここは会社だし、僕たちは上司と部下だし、そもそも男同士なのに。



「じ、自分で食べます」


「いや、このまま食べろ。これは命令だ」


「……分かりました」


僕はおそるおそる、三澤さんの指に唇を近づけてチョコを受け取った。
この行為が恥ずかしくて、チョコの味を楽しむことが出来ない。


「うまいか?」


「……は、はい。おいしいです。とっても甘くて」


「そうか……じゃあ、しっかりと全部食べろ。まだ残ってるだろ」


三澤さんは僕の口元に、チョコのついた彼の指を差し出した。
これって、もしかして、指まで舐めろってこと……?



「み、三澤さん、僕……出来ません」