秘密のキスは夜のオフィスで

三澤さんはスーツの内側のポケットから一粒のチョコを取り出した。



「これ……高級チョコじゃないですか!」


三澤さんが手にしているのは、一粒5百円もするチョコだった。
……さすが、彼クラスになるとお菓子も高級志向なのか。


「一粒だけだけどな。……ほら、食べろ」


三澤さんはチョコの包みを丁寧に開けて、チョコを指でつまんで僕の口元に持ってきた。


「えっ……」


「早く食べろ」


僕は目の前の光景に戸惑って、言葉を発することも、チョコを食べることも出来なかった。
だって、上司である彼が僕にチョコを食べさせようとしているのだ。

……どう考えたっておかしい。