で多くはない。私と千奈美は玄関へ、教室へ向かう。
教室にはだいぶ人が揃ってきた頃。
「れいら一時間目って何だっけ?!」
「科学。もしやレポート?」
「…っと、まことに申しあげにくいのですが、レポートを見してくだ…」
「悪い、私もう提出してるんだ。他を当たるんだな」
「くっそぉ…。はるかー!」
彼女には『自力でやる』という選択肢は無いのだろうか。
「レポート見して!だろ?」
やりとりを見ていたのか、千奈美の言うことなど見据えていたのか、大野田晴花は呆れたように言った。
「見せてやんよ。ジュースおごりな」
「さんきゅ!」
晴花から渡されたレポートを光のごとく奪い取り、写し始めた。本当に、自力でやる