まだ夏の温度が残る風が吹く9月。私は学校へ続く大通りを自転車で走る。
「れーいらー!」
後ろから良く通った声で私を呼んだ。声の主は遠野千奈美だ。髪の毛があっちこっちにはねている。朝食を抜いてきたことが目に見える。
「おはよう。ちなみ、リボン。」
「?っあああ!どうしよ付いてない!」
「付いてないんじゃなくて付けてこなかったんでしょう?朝礼とか無いし、まあ大丈夫でしょ。」
「そうかなぁ…?まあいいかぁ…」
千奈美はことあるごとに一喜一憂して、私は千奈美のそんなところを、どこか羨ましく思っていたりする。
そんな千奈美と二人、自転車をこぐ。時間には結構な余裕がある。別に慌てて家を飛び出さなくても良かっただろうに。

8時10分、校門をくぐり駐輪場へ。8時30分本鈴の学校に、来ている生徒はまだそこま