未来の1/fragment





目的地に着いた夏海はタクシーから降りて、信号待ちをしていた。


信号が青になり、人々が前へ歩き出した。流れに沿って一歩前へ歩き出した瞬間だった。



キーンと耳鳴りがし始め、シンクロが起こり始めた。


自分以外の時が止まる様な感覚に陥り、周りの足音・声・人の動き・目線など全てのものに同調する。


ここ何年も起こっていなかった不思議な現象が、再び現れたのだ。






夏海の横をすれ違っていった人に何か反応して、首を傾げる。


どこかで匂った事がある香、歩き方、仕草…






我に戻った夏海は、横断歩道の真ん中で立ち止まり、後ろを振り返る。


横をすれ違っていったのは男性で、白シャツに黒いスキニーパンツ、右手にデニムのジャケットを肩に背負っていた。


その男性も何かに気付き、歩いていた足を止めて後ろを振り返る。