✳︎ ✳︎ ✳︎
あれから、9年後
携帯の着信が鳴って、咄嗟に左手で携帯を持って耳に近づける。
「もしもし…はい、分かりました。一旦事務所に戻ります」
バタバタと建物から出て来て、階段を駆け下りて行く。
腕時計を見て時間を確認した夏海(26歳)は、紺のパンツスタイルのスーツに、ヒールのパンプスを履いてバリバリ働いていた。
大通りへ移動し、右手を上げてタクシーを止め、車内へ乗り込んだ。
夏海が建物から出た場所、それは物々しい雰囲気が漂う裁判所だった。
歩道から右手を上げ、タクシーを止めた。
後部座席に座り、鞄から書類を取り出して一通り目を通す。
あの不思議な現象はまだ起きてるのかって?
ここ何年も目眩や頭痛が起こっていない。他人の未来や過去を見る事もパタリとなくなった。
悩んだりする事もなく、気が楽になったというか、背負っていた荷が降りた様な気がする。



