未来の1/fragment





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あれから、9年後



携帯の着信が鳴って、咄嗟に左手で携帯を持って耳に近づける。



「もしもし…はい、分かりました。一旦事務所に戻ります」



バタバタと建物から出て来て、階段を駆け下りて行く。


腕時計を見て時間を確認した夏海(26歳)は、紺のパンツスタイルのスーツに、ヒールのパンプスを履いてバリバリ働いていた。


大通りへ移動し、右手を上げてタクシーを止め、車内へ乗り込んだ。


夏海が建物から出た場所、それは物々しい雰囲気が漂う裁判所だった。



歩道から右手を上げ、タクシーを止めた。


後部座席に座り、鞄から書類を取り出して一通り目を通す。



あの不思議な現象はまだ起きてるのかって?


ここ何年も目眩や頭痛が起こっていない。他人の未来や過去を見る事もパタリとなくなった。


悩んだりする事もなく、気が楽になったというか、背負っていた荷が降りた様な気がする。