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教室を出て廊下を歩いていた夏海は、スカートのポケットに入れていた携帯のマナーモードが鳴り始めた。
携帯を片手にメールを開くと、そこには『丸林』と書かれていた。
【 屋上に来て 】
メールを確認した夏海は、すぐさま屋上の方へ走って向かった。
〜
一方、夏海にメールを送った丸林は、屋上の手すりに背を付けて寄りかかった姿で、ズボンのポケットに両手を入れて、目を瞑り空を見上げていた。
屋上の出入り口の扉がガチャっと開く音に気付き、丸林はそっと瞼を開いた。
「おぅ、早かったな」
「こんなところで何してるの?」
「何って、最後の挨拶に来たんだよ」
夏海は丸林の側に一歩ずつ近寄る。
「俺、父さんについていく事にしたんだ。父さんの知り合いから『アメリカで仕事しないか⁇』って誘われたみたいで。今の仕事が落ち着いたら行くつもり。ちゃんと坂尻には伝えておこうと思って…」
丸林はしっかりと夏海の目を真っ直ぐ見て話す。



