未来の1/fragment




「とにかく、生きてはいけるんですね」



丸林は西岡に笑ってみせた。



「ただ…幸せではない」



そう言われて、丸林の笑顔が消えて俯いてしまう。


西岡は丸林の肩を組み、「お前にも好きな人が出来たのか…」



感慨深そうに呟く西岡に対して、嫌そうな顔をして出ていこうとする丸林。



「ちょっと待て、相手は誰なんだ?」



言い逃げをするように教務室を出て行った丸林の背中を見届け、コーヒーを自分のデスクに置く。


本棚の上に伏せて置いていた写真立てを手に取り、写真を眺める。



「先生、僕は卒業まで見届ける事が使命だと思っていましたが、それは叶いようです。僕の力不足なのかもしれません。

しかし、あなたの息子は僕の知らないうちに大きく成長してましたよ」



写真に写っているのは、西岡の高校卒業時と当時担任だった丸林の父親だ。写真立てを綺麗に本棚の上に立て直した。