「まぁ私に勝てなかったとしても、勉強の面で今後の彼の為に、少しでも力になれるかなと思って」



微かに微笑む坂尻の表情を堀澤は見逃さなかった。


その笑顔は、俺に向けてじゃない。丸林のことを考えてふと自然に出た表情だからだ。



「堀澤は余裕そうね。ひょっとしたら…丸林に順位抜かれるかもよ⁇」


「そうならないように、俺も勉強しておくよ」


「じゃあ、私は先に教室戻るから」



堀澤に手を振って別れた後に、夏海は廊下を歩きながら両手を胸に当てた。


堀澤がジュースのタブを開けてくれたのは良かったけど、心臓が止まるかと思った。


堀澤からキスをされて以来、2人きりになって妙にぎこちない自分。


普段通りに話できてたかな?


堀澤に感づかれなければいいけど…