堀澤は咄嗟に夏海の腕を掴み、身体を引き寄せた。
あまりの勢いに夏海が気付いた時には、堀澤の胸の中にいた。
「思い出したよ。そっか…あの日の学生は坂尻だったんだな」
堀澤は両腕を夏海の背中に回して抱き寄せた。
「良かった…」
安堵した様に夏海の耳元でそう呟いた堀澤の低い声が聞こえ、胸がドキッとした。
夏海は腕を回そうかどうか悩んだが、そのまま手を下ろしてしまった。
「ずっと黙っててごめん…」
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一方、廊下を歩いていた丸林は教務室前で一度立ち止まり、ドアをノックした。
「失礼します」
両手をズボンのポケットに入れたまま教務室の中へ入る。辺りを見渡すが、担任の西岡の姿が見当たらない。
「おかしいな…」
西岡の席の前で立ち止まると、ふと目線の先にあった本棚に目が行く。



