観客席後方にある通路から手すりに手を掴み、試合を立ち見をしていた丸林は、ふと夏海の後ろ姿に視線を向けた。
夏海はいつ堀澤が身体を壊してもおかしくない状況に、ハラハラして内心落ち着かない。
このまま試合を観戦しないといけない苦しさ、今後の事を知っているからこそ、思わず目を背けたくなる。
堀澤は強烈なスパイクを受けて必死に食らいつき、レシーブをしてなんとか次に繋ぎ、チャンスを作った。
準決勝は粘り勝ちをした。
コートに一礼して、ベンチに戻る堀澤はさらっと誰にも気付かれない程度に、膝を右手で触った。
「あともう少しなんだよ、頑張れ俺の膝」
確かに以前から膝の調子があまり良くなかった。でもそれを理由に練習や試合に出れなくなるのが嫌だった。
このチームで全国優勝を成し遂げたい。そう人知れず自分で自分を励まし、奮い立たせた。



