校門の前に一台の黒い車が停まっており、運転手がじっと学校の方を見ていた。



夏海は黒い車を不審に思いながらも、校舎の方へ歩いて行くと、夏海の後ろ姿を見つけた堀澤が走って駆け寄って来た。



「よっ‼︎」


「おはよう、あれ?朝練は今日無かったの?」


「あー、うん。」


「あっ今嘘ついたでしょ?…もしかして寝坊したの?」


「正解‼︎」


「いいの?そんな事して⁉︎」


「初めてだからいいだろ」


「大丈夫なの?この先が心配だわ」



夏海は苦笑いを浮かべながら、堀澤の左肩をポンと叩いた。



「しっかりしてよねー、エース」



夏海は堀澤の肩に手を置いたまま止まってしまう。


何も言わなくなった夏海に気付き、堀澤が顔を覗き込む。