服部は成績表を手に持ちながら、ブツブツと小声で独り言を呟いていた。
「どうしよう、どうしよう…」
夏海は微かに聞こえる声を聞き逃さなかった。
しかしこの声は他人に聞こえているのだろうかと、一旦周りを見渡してみた。
だが誰も気付いていないのか、服部の声は夏海以外聞こえていないようだった。
服部の肩を叩こうと手を伸ばした途端、耳鳴りが今まで以上にボリュームが上がり、次第にめまいもし始めた。
両目を閉じ、右手で眉間をつまみながら、自力で自分の席に戻り、机に両手を置いてしゃがみこんでしまった。
夏海がしゃがみこんだ瞬間を目撃していた男子生徒が、歩み寄って来た。
「おい…大丈夫?」
目を細めながら顔を上げた夏海の前には、堀澤が中腰の状態で夏海の様子を伺っていた。



