「ここ最近、誰かに見られてるような気がするの。私の勘違いならいいんだけど」
丸林はベッドのそばに置いていたリュックを拾い上げ、右肩に背負いながらボソッと呟いた。
「その勘ってやつが怖いんだよな。お前…気を付けろよ」
「えっ、何?」
「何もねぇよ、じゃーな‼︎」
丸林は右手で髪を触る仕草を取りながら、保健室を出て行った。
ほんの少しだけだが、丸林の本来の優しさが垣間見えた。
実はいい奴なのかもしれないが、それを下隠すような態度をとる丸林。
彼は一体、何に悩み、時に苦しんでいるんだろう…
その数分後、夏海も一人で保健室を後にした。
丸林と夏海が時間差で保健室から出て行ったのを、近くのトイレの壁に背を付け、身を潜めている女子生徒がいた。
その女子生徒は、二人の反対方向へ歩いてその場を離れた。



