未来の1/fragment






「今思えば…昔変わった事が、自分の身に起こってた気がする」



夏海は母親からの意外な返答を聞いて、携帯の画面を見ていた視線を母親へと移す。



「何があったの?」


「夏海が期待してる答えではないかもしれないけど」



母親は夏海に一言置いて、昔の事を思い出しながら28年前の出来事を振り返る。







夏海の母親、28年前の高校2年の夏。


階段を登り、廊下を歩いて角にある教室に入る。



「知香子、大丈夫なの?」


「うん、多分いつもの頭痛だと思う」


「今は曇り空だから、この後雨が降り始めるかもね⁉︎」



制服の胸ポケットに付けられた名札には【樋口】と書かれている。


夏海の母親の旧姓は、『樋口知香子』である。


大抵の頭痛の原因は低気圧の影響が強く、雨が降る前に必ずといっていいほど頻繁に起こっていて、この頭痛に何年も苦しんでいた。