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放課後、真っ直ぐ家に帰った夏海は玄関の扉を開け、靴を脱いでいると、母親がリビングからひょっこりと顔を出した。
「あら、おかえり。今日は早かったのね」
「うん、それよりお腹空いた〜」
夏海はリュックを自分の部屋に置いて、再びリビングに戻ってきて、キッチンで晩御飯の準備をしている母親に声を掛けた。
「ねぇ、お母さん。私の話をちょっとだけ聞いてくれる?」
「何?」
「お母さんが高校生ぐらいの頃、何か変な事が起こらなかった?」
「変な事?その変な事って?」
「例えば、周りの音とか眼に映るものに敏感になったり。あと…他人の未来が見えたりとか」
夏海の話を静かに聞いていた母親だったが、野菜を刻んでいた包丁を持つ手を止めた。



