そういえば、丸林の笑顔って見た事がない気がする。
いつもヘラヘラして、フラフラしているイメージで、先生達も手を焼いている様子。
夏海は運動場から、誰もいないはずの自分の教室を見上げた。
「ねぇ、今から50mのタイムを計るらしいよ‼︎」
「うわっ、だるーい」
真弥とさやかは愚痴をこぼしながら、クラスの男子達が次々と50mを全力で駆け抜けて行った。
周りが座って順番待ちをしながら応援している中、夏海はある1人のクラスメイトが目に留まった。
「ねぇ、さやか‼︎末永くんって、陸上部よね?」
「確かそうだけど⁉︎」
ふぅーんと聞いた夏海は、クラウチングスタートで構える末永くんをじっと視線を向ける。
「この後彼自身も驚く程の新記録が出るはず、しっかり見てて…」
ボソッと呟く夏海の声に、真弥とさやかは「えっ?」と反応して、夏海の方を振り向いた。



