「丸林、その首にある痣って…」
夏海の腕を振り払い、手で痣を隠す仕草を見せる丸林は、いつものようにヘラヘラする。
「あぁこれ?友達と喧嘩したんだよ、なんか痛いなと思ったら、痣が出来てたのか‼︎」
後ずさりをして怯える夏海の腕を咄嗟に掴んだ丸林は、しきりに様子を伺う。
「え、どうした⁉︎何で…お前が泣いてるんだよ‼︎」
「えっ⁉︎」
夏海は無意識の内に頬を流れる涙に気付き、慌てて手で拭う。
「ううん、何でもない」
「何でもない⁇なら何で泣くんだよ⁉︎」
夏海はいつもとは違う感覚に陥っていた。
相手の眼を見て瞳の奥を覗くように、相手の未来を見るのではなく、丸林の身体の一部を何気なく肩に手を置いた途端、彼の心の闇と過去に触れてしまったのだ。
謎めいた彼の私生活や行動を見てしまい、思わず困惑して涙が溢れてしまった。



